人には人の黄金期

藤井聡太がすごすぎる。将棋界のタイトルすべて独占する「八冠」を史上初めて成し遂げた。しかも齢21にして、である。

こういう、自分には想像も及ばないようなすごいことを目にしたときに、「どひゃー、すげー」とあんぐりする一方で、「で、お前は?」と自分のしょうもなさを反省する真面目さ?諦めの悪さ?が、23のぼくにはまだある。

藤井聡太が八冠を成し遂げてお茶の間に最高のエンタメを届けている間に、一体自分はどんな価値を生み出したのか。あるいはこれからそのような価値を生み出せる可能性があるのか。

などということを考えていると暗くなる。どんな反省もやり過ぎは毒。今の自分の情けなさで張り裂けそうになったときは、ショウペンハウエルのこの言葉を読み返すようにしている。

ほとんど全ての人の性格は、いずれの年齢期に特に適合しているらしいということは以前にも述べた。そのため、その人はその年齢期になるとより好ましい印象を与える。青年期には愛すべき若者だったのに、あっという間に花の盛りが過ぎてしまう人もいる。壮年期にはたくましく活動的だったのに、寄る年波のせいで何の価値もなくなる人もいる。老年期になってから以前より経験豊かになって落ち着きが増したために穏やかになり、生涯で最も好印象を与える人もいる。これはフランス人によく見られる。こうしたことは、人間の性格そのものがはじめから、青年的要素、壮年的要素、老年的要素のいずれかを備えており、それぞれの年齢期がこの要素に合致することもあれば、緩和剤として対抗的に働きかける場合もあることに基づくに違いない。

ーショウペンハウエル『幸福について』より

「人には人の黄金期」ということである。「そうだ、きっとおれの黄金期はもっとずっとあとに来るんだ!!」と思い直すことで、今の自分を許すことができる。そして来るべき黄金期のために、淡々と仕込みを続ける。

とはいえ、藤井聡太先生には「黄金期なんてまだまだこれから」と思わせるような凄みと謙虚さがあるんだけどね。彼と自分の今後に期待。

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